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2019年 3月
以下の2名の学生が,博士の学位を取得し,リーディング大学院を修了しました(2019年3月修了・学位取得)。
坂部 翔
西上 博士

前年も,以下の1名の学生が,博士の学位を取得し,リーディング大学院を修了しました(2018年3月修了・学位取得)。
Kimさんは,韓国(ソウル出身)からの留学生です。
Jaehym Kim

2年の間に,合計3名の学生が,本研究室から博士の学位を取得し,いずれもリーディング大学院を修了しました。
3名の皆さん,おめでとう。これからまた大いに御活躍下さい


2019年 3月
西上博士さん(2019年3月修了・学位取得),姜 志姈 前特任助教(現在,韓国・延世大学・特任教授),
舘野 賢教授らによる研究論文が,イギリスの科学雑誌「Physical Chemistry Chemical Physics」誌に掲載され、
Cover Art(裏表紙)にフィーチャーされました。

http://xlink.rsc.org/?DOI=C9CP00103D


<研究のポイント>
この論文において,「スーパーコイル(Supercoil)を形成しているDNAに,選択的に結合するペプチド (注 1)」である,
「スーパーコイルDNA認識ペプチド」(Supercoiled DNA Recognition Peptide)(以下,SDRペプチドと呼びます)の
立体構造とその形成メカニズムを,理論的に解明しました。
従来 SDR ペプチドは,不安定な立体構造 (注 2) を有することが示唆されていましたが,本研究により,
これまでの解析結果とは異なる,ラセン構造(へリックス)を形成して,準安定な立体構造を有することを,
スーパーコンピュータと高度なコンピュータ・シミュレーション技術を用いて解明しました。

(注)
(1) 小さなサイズのタンパク質を一般に「ペプチド」と呼びます。
(2) ランダム・コイルと一般に呼ばれます。近年,「ペプチド単体では不安定な立体構造」を有しながらも,
他のタンパク質やDNA,RNAなどと結合することにより,安定な立体構造を形成し,それらに特有の生物機能を有する
タンパク質やペプチドが,多数見出されてきています。それらは IDP(Intrinsic Disordered Protein)と呼ばれ,
現在,極めて大きな注目を浴びています。SDRペプチドもまたIDP のひとつです。
必ずしも一定の立体構造をとるとは限らない状態 (例えば,ペプチド単体における準安定または不安定な状態)にも,
生命の重要なはたらきが隠されていることを,以上の事実は示しています。何と深遠なことでしょうか?
「固い」立体構造の研究だけでは,生命の本質を理解することは到底,不可能であることを,
この事実は端的に示しています。それどころか,誤った理解を導くことも,数多く実際にあります。
生命を基本原理に基づいて理解したときに,こうした生命の深い作用に初めて出会うことになります。


<研究の意義>
通常のタンパク質は,疎水性アミノ酸残基 (注 3) によって,「疎水性相互作用」が形成され,
安定な立体構造を形成します。ペプチドであっても,安定な立体構造を有するものは,
疎水性相互作用によってその立体構造が形成されます。ところが前述のSDRペプチドには,疎水性アミノ酸残基を持たない,
すなわち「正または負の電荷を有する,親水性アミノ酸残基」のみから形成されているアミノ酸配列もあります。
例えば,(Lys)9(Glu)9(Lys)9 のアミノ酸配列による SDR ペプチドがその例です。
このとき SDRペプチドは疎水性のアミノ酸残基を持ちません。ところがその場合でも,
SDR ペプチドは準安定な立体構造を形成し得ることを,本研究は発見しました。
このように,正または負の電荷を有する,親水性アミノ酸残基のみから成るペプチドが,
(生理的な条件化で)準安定な立体構造を形成する場合はこれまでに存在せず,本研究により初めて見出されました。

(注)
(3)油は,水と混じらない性質を有するため,そのような性質は「疎水性」と呼ばれます。
逆に,水と混じりやすい性質は,「親水性」と呼ばれます。
タンパク質を形成する基本的なアミノ酸は20種類あり,それらは親水性または疎水性の性質を有しています。
タンパク質が安定な立体構造を形成する場合には,疎水的なアミノ酸残基どうしが,分子の内部に位置して互いに結合し,
疎水性相互作用により安定化されます。同時に,親水的なアミノ酸残基は,タンパク質分子の表面に位置して,
外部の水分子と水素結合などを形成して安定になります。このようにタンパク質の立体構造の形成において,
疎水性相互作用はそのコアを形成する重要な役割を果たしています。


<研究成果>
SDRペプチドの分子内では,「電気的」(親水的)および「疎水的」な相互作用の両方が,
アミノ酸残基間で同時に形成されることに拠って,準安定な立体構造を形成することが,本研究によって解明されました。
SDRペプチドは,疎水的なアミノ酸残基を持たないにも関わらず,
なぜ「疎水的」な相互作用を形成することができるのでしょうか? それは,
上記のアミノ酸配列 (Lys)9(Glu)9(Lys)9 の中で,Lys も Glu もいずれも「正または負の電気を有する」だけではなく,
実は「疎水的な部分」(メチレン部分)も持っているのです。
それらメチレン部分が互いに結合することによって,Lys と Glu 間で疎水的な相互作用を形成し得るのです。
すなわち SDRペプチドにおいては,正および負の電荷を持つアミノ酸残基の間で,
「電気的」(親水的)および「疎水的」な相互作用の両方が同時に形成され,
以って,疎水的なコアが準安定に生じる形成メカニズムが,明らかになりました。
そこで我々は,こうした電気的および疎水的な結合が同時に形成されたアミノ酸残基間の結合を,
「ハイブリッド結合」と,新たに名づけました。


<研究の波及効果>
こうして見出された,ハイブリッド結合による立体構造は,
これまで明らかになっている他のタンパク質の立体構造においても,
同じような特徴を有する領域(正または負の電荷を有する,親水性アミノ酸残基のクラスタ)に,
同様に見られることがさらに見出されました。
すなわち,ハイブリッド結合による立体構造の基本構造は,
タンパク質の立体構造における基礎的な構造単位のひとつであることが明らかになりました。
したがって今後,タンパク質の立体構造と機能との関係を明らかにするために,
またそれによってさらにタンパク質(立体構造やそのはたらき)を
理論的にデザインするためにも,本研究の成果が大いに生かされるものと考えられます。
またこのように,「正または負の電荷を有する,親水性アミノ酸残基のみからなるペプチド」が,
準安定な立体構造を有するというこの新たな発見は,
SDRペプチドが生物機能も有する点(すなわち,スーパーコイルDNAに選択的に結合するなど)と合わせ,
「生命の起源」(the Origin of Life)にも深く関わっていることも,この度の研究により明らかになりました。




2018年11月 
研究室メンバのYu Huaxinさん(一貫制博士課程 2年)が、 ICEBS2018(韓国ソウル)にて、
Best Presentation賞を受賞しました。
おめでとうございます。




2015年2月 
研究室メンバ(M2)の「武田 拓也」君が,修士論文・優秀に選ばれました
(そのため,奨学金返還が免除となりました)。
武田君,おめでとう。ひじょうに優れた研究内容とその発表でした。
舘野研では,昨年度の「板垣 哲彦」君に続いて,2年連続の受賞となりました。
来年度は,(5年一貫制を含めた)博士課程の学生が1名増えます(計3名かな?)。お楽しみに。




2014年2月 
研究室メンバ(M2)の「板垣 哲彦」君が,修士論文・優秀に選ばれました。
板垣君,おめでとう。
舘野研が兵庫県立大学に異動して3年が経過しました(年月の経過は早いものですね)。
したがって本年度は,本学おける舘野研として,最初の記念すべき修士課程修了年となりました。




2012年6月
Nucleic Acids Researchに論文が掲載されました。
Novel ab initio identification system of transcriptional regulation motifs in genome DNA sequences based on direct comparison scheme of signal/noise distributions
Ryo Nakaki, Jiyoung Kang, and Masaru Tateno, Nucleic Acids Research, (2012) 40 8835-8848.
doi:10.1093/nar/gks642

転写制御因子が認識し結合する、ゲノムDNAの特異的な塩基配列を、
ゲノムワイドに同定するためには、ChIP-seqなどの実験データに
対するコンピュータ解析が不可欠です。

我々が 0 から開発した解析プログラムである「MODIC」は、
転写因子の結合モティーフを高精度かつ自動的に同定するために、
現在、最善のアルゴリズムであることを実証しました。

詳しくはこちら→研究内容



2012年3月 
姜 志姈さんの学位論文が,筑波大学大学院・数理物質科学研究科・優秀論文賞を受賞しました。
舘野研では,2010年に続いて,連続して2名の修了生が同賞を受賞しました。



2012年1月
J. Chem. Theory and Comp. に論文が掲載されました。
タンパク質GatCABの内部には,その機能を制御するために,「世界最小の一方向弁(Unidirectional Valve)」が存在することを,理論的に見出しました。生体高分子における,機械的な一方向弁として,世界初の発見となりました。

詳しくはこちら→研究内容



2011年10月
Biochem. Biophys. Acta, Bioenergetics に論文が掲載されました。Link
シトクローム酸化酵素が,シトクロームcより電子を受け取る場所「CuAサイト」の機能メカニズムの一部を解明しました。そのメチオニン(Met)残基の役割として,複数の生物化学実験の結果には,論理的な矛盾が見られました。本研究において,「CuAサイト」の電子構造と立体構造を理論的に解析した結果,この矛盾を初めて解決しました。



2011年4月10日
引越し作業を行いました。東日本大震災による被害が,RAIDディスクなどに及び,その一部の復旧を行って来ました。兵庫においても,再解析などの作業を行います。



2011年4月
兵庫県立大学大学院・生命理学研究科に着任しました。
以前のHomePageからの引き写しをまず行うことにしました。

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